なし品種の特性

品種説明

農林省園試(現果樹試)育成、樹勢やや強く、技梢の発生密度は中位である。花芽の着生中位でえき花芽は少ない。短果枝の着生が少なく長果枝を形成することが多い。黒斑病抵抗性であり、黒星病に対しては長十郎より強い。開花期は20セーキより2~3日遅い。が開花期間は長く、花粉は多量にあり、新水、早生赤を除けば主要品種との間には強い交配不親和性が認められず受粉樹としての価値も高い。果実は新水に続き8月下旬より9月上旬にかけて収穫。果形は扁円で玉ぞろいは中位、果皮の色は中間色に属し、成熟すると黄褐色を呈するが、ときによると緑の地色が現れる。大きさは300g前後が普通である。10a当り収穫は3,500kg前後である。肉質はち蜜で柔らかく、多汁である。甘味多く糖度12~13度、酸味はなく、特有の香気がある。品質は上、日持は中位である。幸水は赤梨であるが肉質・甘味の点では20セーキよりすぐれている。成熟果実の輪紋病および鳥害に気をつける。また胴枯病に弱い傾向があるので樹体を堅く作ることが大切である。

農林省園試(現果樹試)育成。樹勢は若木の間は旺盛に伸長すのが、枝の頂部優勢性はやや弱い。枝の発生密度は中~やや多い。短果枝の着生は中~やや多い。開花期は20セーキより1日程度早い。果粉は多く、交配親和性は赤穂との間に交配不親和性であり新高との親和性もやや劣る。果実は円形で玉揃いはよく、果実の大きさは平均400g前後で、10a当り収量4,000kg前後である。果面はやや粗でコルクの発達が多い。なお豊水は大玉(400g)以上になると糖度にバラツキがでやすい。成熟すると果皮は赤褐色をていする。果肉は柔軟多汁、果肉硬度は幸水と同程度で肉質はち密で糖度は13度またはそれ以上にある。酸味は20セーキよりやや多く感じる。食味はきわめて濃厚である。収穫は9月中、下旬で一斉に熟するので収穫期は短い。10月に入り過熟になると密症状がでる。黒斑病に対しては抵抗性であり、黒星病に対しても長十郎よりは強い。

千葉県松戸市の松戸覚之助氏の宅地内において偶然実生として発見された。樹勢は強く、枝発生も多い。短果枝の着生およびその維持がきわめて容易である。開花期は4月27日前後であり、花粉量は多い。長十郎、新興等とは親和性があるが、菊水紙園等とは交配不親和である。9月中旬より10月上旬にかけて熟す。青梨の代表品種である。果形は円形で300g前後の大きさで玉揃いよく、収量10a当り4,200kg前後である。柔軟多汁で肉質良好、上品な甘味があり、品質、外観とも優秀である。そのうえ日持ちも良い。しかし国斑病に非常に弱いため適地が制限される。また果面にサビが発生しやすいことから袋かけが必要である。樹勢が強いとはいえ、耕土が浅く、地下水の高い土地では石梨がでやすい。栽培は耕土の深い排水の良い土地~例えば河川流域の肥沃な土地~に裁植距離を広くとって植え付けることが必要である。

農林省果樹試で育成。樹勢は若木時代はやや強いが、成木になるにつれて落ち着き中程度となる。発育枝は太く、長く発生密度は中位、短果枝の花芽の着生は中程度であるが、えき花芽はやや少ない。開花期は早く、新高とほぼ同時期で幸水より7日位早い4月20日頃である。新興とは交配不親和性であるが、20セーキ、幸水等とは親和性があり、花粉量はやや少ないが健全である。果実は9月下旬から10月上旬にかけて収穫でき、一果平均重は400g前後で、10a当り収量は3,800kg前後である。果皮色は黄褐色、果形は長円型で、てい端部が細くなりがちで、有てい果がでやすい。肉質は柔らかく、ち密で多汁であり、甘味多く糖度13%位である。日持ちは20~25日でよい方である。

新潟園試で二十世紀の自然放任果の実生から得た品種である。樹の生育は良い方だが、若木のうちにならせ過ぎると樹勢はなかなか回復しない。枝の発生密度は多いほうであり、短果枝の着生は多い。深い肥沃な土壌においては高い生産力を示す。黒斑病抵抗性で黒星病に対しても強い。アブラムシ、ヒメシンクイムシの被害が多いので防除に注意する。開花期は20セーキより一日早いので受粉樹として適当であり、花粉は多く、新星以外のおもな品種との間に交配不親和性は認められない。10月下旬~11月上旬に収穫される。果形はほぼ円形で400g以上になる。10a当り収量は4,200kg前後である。肉質柔軟多汁で甘味も多く糖度13%品質は良い。2月末まで貯蔵できる。欠点とししては果形がなかなか定まらないことと、有てい果を生じやすいので摘果のさい注意する。果皮は、黄褐色で、薄いから荷造り輸送に注意を要する。また果面はボルドー液で汚れやすい。無袋栽培では果皮の緑色がなかなかぬけず熟期がおくれる。

白根市茨曽根の小池左右吉氏が明治36~41年に海外等から40品種近い西洋梨を導入、試作したうちの1品種である。名称については、従来ロクチ、レクチ又はル ルクチェなどと呼ばれていたが、昭和58年にル レクチェで正式に統一された。原産地はフランスで1882年ころにバートレットXフォーチュニーの交配で育成されたものである。樹勢は強く、直立性で技梢の発生は多い。若木のうちは花芽の着生は劣るが、成木になると中、短果枝がよく着生するようになり、生産量は10a当り3t位はとれる。開花期は20セーキより2~3日遅い程度である。また収穫期は10月下旬ころが適期である。果実の大きさは350g前後となり、果形はびん~短びん形で、果梗は細くやや短いが肉梗となることもある。果皮色は収穫時は淡緑色であるが、追熟すると黄変して光沢のある美しい外観を呈する。追熟に要する日数は自然追熟で40日位かかり、12月初めころから可食期に入るが、日持ちは約1か月位である。肉質は溶質できめが細やかで、多汁である。糖度16%以上と高く、適度な酸味、芳香があり、品質極上で最高にうまい。栽培上の留意点としては、①風害に弱いので防風施設を完備する。②生理落果があるので、仕上げ適果の時期を遅らせる。③追熟中に腐敗が発生しやすいので、土壌改良の徹底や優良苗木の導入などに努める。追熟後の果皮は傷つきやすいので慎重に取り扱う。